
ユーノスロードスター”ユーノス”ってなに?
車好きなら一度は憧れるユーノスロードスターのオープンカー。現在はマツダ・ロードスターとして知られています。ではなぜ「ユーノス」を名乗っていたのか、そもそも「ユーノス」とは何なのか、気になったことはありませんか?
この記事では、ユーノスの語源からユーノスロードスターの魅力、マツダ・ロードスターとの違いまで詳しく解説します。
実際に乗り比べてみた方の口コミもご紹介しているので、ぜひ本記事を読んで大切な車選びの参考にしてください。

ユーノスとは「喜びのコレクション」という意味
ユーノスはアルファベットで「Eunos」と書き、ラテン語のEu(喜び)と英語のNumbers(集まり)の造語で「喜びのコレクション」という意味です。ユーノスのエンブレムは十二単の襟部分がモチーフとなっています。ユーノスの販売当時、ネームバリューの低かった「マツダ」ブランドを隠す意味合いが込められていたようです。
ユーノスロードスターが誕生した歴史
ファンとして外せないのが歴史の知識ですよね。本章では、ユーノスロードスターが誕生するに至った経緯から、マツダの経営危機とその後までを解説します。
バブル期の5チャンネル体制
ユーノスは、1989年(平成元年)から1996年(平成8年)まで存在したマツダの自動車ブランドです。1989年は、日本の経済が爆発的に成長したバブル期で、マツダ、マツダオート、オートラマという3つの販売系列をマツダは持っていました。しかし、トヨタ自動車や日産自動車と同様に販売網を広げようと考え、5系統の販売系列を目指します。
その後、「マツダ」「オートザム」「アンフィニ」「オートラマ」「ユーノス」の5チャンネル体制が誕生しました。マツダはブランド力のなかった「マツダ」の名を隠し、消費者に新鮮な印象を与えることを目的に「ユーノス・ロードスター」を開発しました。しかし、マツダは販売機種が少ない状況で多チャンネル化を推し進めてしまったため、販売車種を一気に拡充する必要に迫られる結果となりました。
そこで、同一車種のエンブレムのみを変更した「バッジエンジニアリング車」やボディデザインを変更した「姉妹車」を用いて強引に車種を増やしていたようです。
消費者にしてみればどれも似たような車に見えるうえに、各チャンネルごとの個性もよくわからないものとなってしまいます。さらには、慣れ親しまれていたマツダの名を捨てたことで、まだ知名度の低いブランド名に頼らざるを得なくなり、結果として販売不振に陥ってしまったのです。
バブル崩壊後のユーノスブランド
マツダの販売不振に決定打を打ったのがバブルの崩壊です。一時は提携していたフォードに経営権を握られるまでになりました。こうした流れを受けて、ユーノス店はアンフィニ店との統合が行われ、マツダアンフィニ店となりユーノスは消滅します。
ところがユーノスは、この短い間に「ロードスター」「コスモ」「500」「800」といった多数の名車を世に送り出しました。特にコスモはダイナミックで優雅なボディに贅沢なインテリア、市販車では唯一の3ローター×シーケンシャルツインターボエンジンを搭載した稀有な車種で人気を博します。しかし生産コストや燃費など、メーカーとユーザー双方にお金のかかる車のため、ユーノスブランド消滅とともに生産終了となったのです。
一方ロードスターは、ユーノスの名は消えたものの現在でも販売されています。その要因は、ライトウェイトオープンカーというジャンルを世界的に復活させた功績が挙げられるでしょう。当時、世界中の自動車メーカーが見限っていた手の届きやすいオープンカーというジャンルで、後に「メルセデス・ベンツSLK」「BMW・Z3」「ポルシェ・ボクスター」が生まれる下地を作りました。
ユーノスロードスターの魅力
ユーノスロードスターには、車好きをワクワクさせるたくさんの魅力が存在します。その一部をご紹介します。
平成の自動車
平成の自動車を語るうえで、決して欠かせないのがユーノスロードスター。当時、運転に自信のない若者や中年の「スポーツカーを乗りこなしたい!」という期待に応える絶好の一台だったようです。
1トンを切る軽量級で、エンジンをフロントミッドシップ(前輪と後輪の間、前輪寄りに配置)するなど重量物をボディ中央に集中させたほか、2名乗車時の前後の重量バランスは50:50を誇りました。
加えて、前後のサスペンション形式はダブルウィッシュボーン式(ボディの上下から強度のあるアームが伸び、ハブナックルの上下を支えるという構成のために、高い剛性を確保できる)。ギアボックスは手首の動きだけで「コク、コク」と決まる小気味のいい5MT。
つまり、軽快な走りと優れたコントロール性を実現するために車の基本から見つめ直した、理想的なライトウェイトスポーツカーなのです。

小さくて軽い
ユーノスロードスターを目の当たりにした時の小ささは圧倒的です。クラッシュテストなどが厳格化され、ロードスターは大型化、重量化していきました。規制強化前の車の小ささと軽さを謳歌できた時代の最後の1台といっても過言ではないでしょう。
現在の姿は「マツダ・ロードスター」
ユーノス・ロードスターは、ユーノスブランドの消滅と同時に名前が変わり、マツダ・ロードスターとして生産されています。本章では、初代NA型と現在のND型との違いをみていきましょう。
NA型とND型
1989年に登場したロードスターは2019年に30周年を迎えました。その間、NAに始まり、NB、NC、そして現代のNDまで4世代の進化を果たしています。
初代NAロードスター(ユーノス・ロードスター)の最大の魅力は、車と人の一体感と軽快さであるといえます。発売と同時に世界中のスポーツカーファンを魅了し、ライトウェイトスポーツカー市場の活性化に貢献しました。
ウエストラインが低く、肘をドアにかけてリラックスした姿勢をとれます。また、センターコンソールの上にあるボタンを押せば、リトラクタブルヘッドライトの開閉が運転席からも確認できます。これができるのはNAロードスターのみなので、試乗する機会があればぜひ試してみましょう。
NAロードスターは特別速くないですが、自転車を漕ぐような車と人との一体感や軽快さが魅力的です。
4代目のNDロードスターは人馬一体に磨きをかけており、ドライビングに夢中になれる仕様です。2代目のNBはNAの延長線上に位置し、3代目のNCは一新したロードスターとなっていますが、NDはさらに全く新しいクルマへと進化しています。SKYACTIVテクノロジーを全面採用しハイパワー化から一転、軽量化とパワーも下げるという判断が可能です。
乗り比べの口コミ評価
20代の頃にNA型を新車で購入し、数年間ともに過ごした経験のある方が乗り比べをしてみた感想です。
「NAロードスターは乗り込んで、クラッチミートして動き出した瞬間から顏がニヤけてしまう。無条件に楽しい。」
「現行(ND型)ロードスターを運転してすぐに『NAロードスターの乗り心地に最も近いのは、NDロードスターのSだな』と再確認した」
といった乗り心地がいい評価が多くされています。
ボディサイズはほぼ同じでパワーは10%UP、価格は1.5倍となっても、楽しさの本質は変わらない特徴が魅力的です。
まとめ
今回はユーノスロードスター”ユーノス”の意味から、4代目NDロードスターとの違いまで解説しました。以下に簡単なまとめを記載しておきます。
ユーノスとは「喜びのコレクション」という意味
バブル期のマツダ5チャンネル体制のもと誕生
バブル崩壊後、ユーノスブランドは消滅
ブランド消滅後も世界で愛されるロードスター、最大の魅力は一体感と軽快さ 現在は「マツダ・ロードスター」として販売中
少しでも気になる方は、ぜひユーノスロードスターをお試しください。